自動車の安全性能評価(JNCAP)の見方:★の意味、予防安全と衝突安全、年度で比べられない理由
国土交通省と自動車事故対策機構(NASVA)の自動車アセスメント(JNCAP)は、新車を購入して試験し、安全性能を ★5 段階で公表します。★の決まり方、試験の中身、年度で試験が変わること、評価の無い車の扱い、当サイトの車種ページでの見方を整理します。
JNCAP(自動車アセスメント)は、国土交通省と自動車事故対策機構(NASVA)が新車を購入して試験し、安全性能を公表する事業です。総合評価は ★1〜★5 の 5 段階で、予防安全性能・衝突安全性能・事故自動緊急通報装置の得点の合計で決まり、★5 には予防安全と衝突安全の両方で最高の A ランクを取り、事故自動緊急通報装置を備えていることが必要です。試験の内容は年度で変わるので、違う年度の点数はそのまま比べられません。
何を試験しているか
NASVA の「自動車アセスメントのご案内」によると、評価は 3 つに分かれます。
- 予防安全性能 — 衝突しそうなときに警報を出したりブレーキをかけたりする技術。衝突被害軽減ブレーキ(車両・歩行者・自転車、交差点での右折・右左折)、車線逸脱抑制、ペダル踏み間違い時加速抑制、高機能前照灯などを試験します。
- 衝突安全性能 — 事故のときに乗員や歩行者を守る技術。前面衝突(フルラップ・新オフセット)、側面衝突、後面衝突の首の保護、歩行者の頭部・脚部の保護、衝突後の感電保護などを試験します。
- 事故自動緊急通報装置 — 事故が起きたときに自動で通報する装置の機能の違いを評価します。
★と得点の決まり方(自動車安全性能 2024〜2025)
NASVA は「自動車安全性能 2024〜2025」の配点と境目を次のように公表しています。
| 評価 | 満点 | A ランク / ★5 の境目 |
|---|---|---|
| 予防安全性能 | 85.8 点 | A ランクは 69.44 点以上 |
| 衝突安全性能 | 100 点 | A ランクは 84.63 点以上 |
| 事故自動緊急通報装置 | 8 点 | — |
| 合計(総合評価) | 193.8 点 | ★5 は 154.07 点以上 |
ランクは A〜E の 5 段階、総合評価は ★5〜★1 の 5 段階です。
合計点が高くても ★5 にならないことがあります。NASVA の Q&A は、★5 の条件を「予防安全と衝突安全がともに A ランク、かつ事故自動緊急通報装置を備えていること」とし、A ランクには合計点だけでなく各評価項目でレベル 4 以上であることが必要だと説明しています。
当サイトの「得点率」
当サイトの車種ページは、NASVA の試験結果一覧にある得点率(満点に対する得点の割合)を、★・年度・予防安全のランクと並べて出しています。
年度で試験が変わる — 違う年度の点数は比べない
自動車アセスメントは 1995 年度の前面衝突試験から始まり、ほぼ毎年のように試験項目が加わったり終わったりしています。「自動車安全性能 2024」からは次の評価が新しく入りました。
- 衝突被害軽減ブレーキで、交差点で右折するときの対向車と、右左折した先を横断する歩行者の評価
- 新オフセット前面衝突で、自分の車の乗員の保護に加え、ぶつかった相手の車への加害性を減らす性能の評価
- 歩行者の脚部保護で、太もも(大腿部)の評価
NASVA は、評価内容の変更で配点も変わったため、過去に試験した車種と点数の大小を直接比べることはできない、と注意しています。2019 年度以前は予防安全と衝突安全を別々に評価していたので、2020 年度以降の総合評価とは形も違います。
車を比べるときは、同じ年度(同じ評価の版)どうしで比べ、違う年度なら「★5 か、A ランクか」の段階で見るのが無難です。
試験される車・されない車
- 試験する車は、販売台数の多い車種などを勘案して国土交通省の評価検討会で選ばれます。メーカーからの申し出で選ばれることもあります。
- 試験車は、ユーザーと同じように販売店から購入しています(メーカーの申し出で評価するときは、メーカーから試験車の提供を受けることもあります)。
- 試験は国内の販売台数の多い車種から選ばれるので、輸入車はあまり選ばれません。
- 後付けの安全装置は評価の対象ではありません。
このため「JNCAP の評価が無い」ことは、試験の対象に選ばれていないということで、安全性能が低いという意味ではありません。評価の無い車は、メーカーの公式の装備表で、衝突被害軽減ブレーキなどの安全装備がそのグレードに付いているかを確かめてください(装備の名前と働きは 運転支援機能の一覧)。
1 台の試験結果が当てはまる範囲
試験は 1 つのグレードの車で行います。NASVA の結果は「ヴォクシー/ノア」「N-BOX/N-BOX カスタム/N-BOX JOY」のように、同じ型の車種をまとめて公表されています。
当サイトは、試験車の型式が車種の型式(グレードと国土交通省の燃費一覧の型式)に入っているときに、その車種ページに評価を出しています。
- 例: トヨタ プリウス は、試験車の型式が現行の型式と同じなので、そのまま表示しています。
- 例: ホンダ N-BOX は、試験車の型式(6BA-JF5)と現行の型式(5BA-JF5)で頭の記号だけが違います。頭の記号は排出ガス規制などの識別記号で、改良で変わることがあります。当サイトでは後ろの車台の記号が一致し、車名も一致するときに「同じ車台の型式」と書いて表示しています。
年次改良で装備が変わった車は、試験の後に安全装備が増えている(または変わっている)ことがあります。評価の年度と、今のグレードの装備表を合わせて見てください。
試験の結果と実際の事故
NASVA の Q&A は、試験は一定の条件で行ったもので、被害軽減ブレーキは「どんなときでも絶対止まる物ではありません」と説明しています。交通の状況・車の位置・太陽の位置などの条件が影響し、雨や雪の条件での評価はしていません(夜間の歩行者は 2018 年度から街灯あり、2019 年度から街灯なしの条件で試験しています)。★の数は「選ぶときの目安」で、運転の注意を減らしてよいという意味ではありません。
当サイトでの見方
- 車種ページの「安全性能(JNCAP)」に、★・評価の年度・得点率・予防安全のランク・試験車のグレードと型式を出し、NASVA の資料へリンクしています。
- 評価は NASVA の試験結果一覧(2020 年度以降の自動車安全性能)から機械で取り込んでいます。取り直すと、新しく公表された結果が車種ページに加わります。