EV の充電規格:普通充電と急速充電(CHAdeMO)の違い、日本の車の充電口、テスラの規格(NACS)と国内メーカーの発表、アダプターの扱い
日本の電気自動車の充電口は、交流の普通充電と、直流の急速充電(CHAdeMO)の 2 つに分かれています。CHAdeMO 協議会・次世代自動車振興センター・経済産業省とメーカー公式の資料から、規格の違い、車種・グレードで違う急速充電への対応、テスラのスーパーチャージャーと NACS を国内向け EV に採用するというメーカーの発表、アダプターの扱いまでを整理します。
日本で売られている電気自動車の多くは、充電口が 2 つあります。家や宿泊先で時間をかけて充電する普通充電(交流)の口と、高速道路のサービスエリアなどで短時間に充電する急速充電(直流)の口で、急速充電の規格は日本発の CHAdeMO(チャデモ)です。テスラは自社の急速充電網(スーパーチャージャー)を持ち、一部のメーカーはその規格(NACS)を国内向けの EV に採用すると発表しています(2026 年 10 月時点)。
普通充電と急速充電の違い
| 普通充電 | 急速充電 | |
|---|---|---|
| 電気 | 交流(AC)。車の中の充電器で直流に変える | 直流(DC)。充電器から電池へ |
| 設備 | 200V・100V のコンセント、普通充電器 | 急速充電器(CHAdeMO) |
| 出力の目安 | 3〜6 kW(トヨタ公式) | 50〜150 kW(トヨタ公式)。規格上はさらに大出力 |
| 時間 | 5〜8 時間程度(次世代自動車振興センター) | 30 分程度で約 80% まで(同) |
| 主な場所 | 自宅・職場・宿泊施設・商業施設 | 高速道路の SA・PA、道の駅、販売店 |
- 普通充電器は 200V と 100V の 2 種類があり、急速充電器より設備の費用の負担が少なく、住宅や事務所・宿泊施設など長く駐車する場所に向くとされています(次世代自動車振興センター「次世代自動車用語集」)。日本の一般住宅に多い単相三線式の配線は 200V を取り出しやすく、100V の倍の速度で充電できます(同)。
- 実際の時間は、充電器の出力・車側が受け入れられる出力・電池の残量・温度で変わります。時間と料金のしくみは 急速充電の時間と料金、自宅の充電設備と電気代は EV の自宅充電の電気代 にあります。
CHAdeMO とは
- CHAdeMO は EV 用の直流急速充電の規格の登録商標で、その技術開発と普及をする団体(CHAdeMO 協議会)の名前でもあります(CHAdeMO 協議会)。
- 国際標準として IEC・EN(61851-23・61851-24・62196-3)と IEEE(2030.1.1)から発行されています。世界 112 か国で 6 万基以上の CHAdeMO 充電器が設置されていると協議会は公表しています(ファクトシート)。
- 標準仕様書は 2010 年 4 月の初版から改定を重ね、最大電圧 1,000V・最大出力 400 kW を可能にする改定(2018 年 5 月)などを経ています。最新の標準規格では 500 kW を実現しているとしています(同)。
- 双方向の給電の仕様を 2014 年に規格として発行しており、車の電気を家に送る V2H や家電に給電する V2L の機器も CHAdeMO の技術を使っています(CHAdeMO 協議会「V2G/VGI」)。V2H は V2H とは で説明しています。
「コンボ規格」との違い
次世代自動車振興センターの用語集は、直流の急速充電と交流の普通充電を1 つの口に一体化した規格を「コンボ規格」と呼び、CHAdeMO は急速充電口と普通充電口が分かれているのが特徴だと説明しています。
日本の車の充電口
2 つの口の位置は車種で違う
| 車種 | 普通充電ポート | 急速充電ポート |
|---|---|---|
| 日産 サクラ | 運転席側後方 | 運転席側後方 |
| トヨタ bZ4X | ボディ右側 | ボディ左側(CHAdeMO。V2H 機器もこの口につなぐ) |
| ホンダ N-ONE e: | フロント(向かって左) | フロント(向かって右) |
| スズキ e SKY | 運転席側後方 | 運転席側後方(X・G) |
(各社公式ページ。2026 年 10 月時点)
- 普通充電の口の接続タイプは、マツダの取扱説明書(MX-30)の車両スペックでは「TYPE1」と書かれています。テスラは日本の普通充電設備を「J1772」と呼び、専用のアダプターでつなぐと案内しています。
- 急速充電の口は CHAdeMO 規格に準拠した急速充電器につなぎます(トヨタ・スズキ公式)。
急速充電に対応しないグレード・車種がある
- ホンダ N-ONE e: は、e: L は急速充電ポートが標準装備、e: G はメーカーオプションです。CHAdeMO 規格の急速充電器や V2H 機器につなぐには急速充電ポートが要ります(ホンダ公式)。
- スズキ e SKY の急速充電ポートは X と Gにあります(スズキ公式)。
- プラグインハイブリッド(PHEV) は車種で分かれます。トヨタの PHEV では、プリウスは普通充電だけ、RAV4・クラウン(スポーツ・エステート)・アルファード・ヴェルファイアは普通と急速の両方に対応しています(トヨタ「ナットク!EV 充電」)。PHEV の比べ方は PHEV の EV 走行距離 にあります。
買う前に、欲しいグレードに急速充電ポートが付くかを主要装備表で確かめてください。
テスラの充電と NACS
テスラの車は日本で何につなぐか
- テスラは自社で運営する急速充電網「スーパーチャージャー」を持ち、最大充電速度 250 kW・15 分で最大 275 km 分を充電できるとしています(テスラ公式)。
- 日本の公共の急速充電器(CHAdeMO)には テスラの CHAdeMO アダプターで、普通充電器(J1772)には専用のアダプターで充電します(テスラ「公共の充電設備」)。CHAdeMO アダプターは設計上の最大出力を 50 kW としています(同)。
NACS を国内向けに採用するという発表
NACS(North American Charging Standard・北米充電規格)は、テスラの充電口の規格です。2026 年 10 月時点で、メーカー公式のニュースリリースで確かめられた国内向けの発表は次のとおりです。
| 発表 | 内容 |
|---|---|
| マツダ(2025 年 5 月 9 日) | 2027 年以降に国内で販売する BEV の充電ポートに NACS を採用することをテスラと合意。国内のスーパーチャージャーが使えるほか、アダプターで NACS 以外の充電規格も使える見通し |
| Stellantis(2025 年 11 月 19 日) | 北米・日本・韓国の一部の BEV に NACS を採用。日本では 2027 年から、対応する BEV がテスラの充電拠点で急速充電できるようになる。現行モデルのネットワーク利用やアダプターの詳細は後日発表予定 |
ほかのメーカーの国内向けの方針は、各社のニュースリリースで確かめてください。当サイトは公式の発表を確認できたものだけを載せています。
アダプターと延長ケーブルの扱い
- アダプターはメーカーが案内しているものを使います。マツダの取扱説明書(MX-30)は、充電プラグと充電コネクター部にアダプターを使わないこと、延長ケーブルなどを使わないことを求めています。
- テスラは、サードパーティ製の車両アダプターや充電器によって生じた損傷は車両の限定保証の対象外としています(テスラ「車両保証」)。
- 使える組み合わせは車種ごとに違うので、取扱説明書と販売店で確かめてください。
公共の充電器の数
経済産業省の推計では、2024 年度末時点で公共の充電器は約 6.8 万口(急速約 1.2 万口・普通約 5.6 万口)です。急速充電器は 90 kW 以上の高出力化が進んでいます(2025 年 5 月末時点の推計)。推移と数え方の違いは EV 充電器の数 にあります。
車種を選ぶとき
- EV の車種・PHEV の車種 から、グレードごとの諸元と補助金を見られます。
- 仕組みの違いは HEV・PHEV・EV・FCV の違い、買う前の確認は 電気自動車を買う前に確かめること にまとめています。
例に出した 日産 サクラ・トヨタ bZ4X・ホンダ N-ONE e:・スズキ e SKY・テスラ Model Y の車種ページで、グレードごとの電費と一充電走行距離を確かめられます。
この記事に出てくる車種
この記事に出てくる用語
- 電気自動車(BEV) — 外部の電源から車の電池に充電し、その電気だけでモーターを回して走る車。エンジンを持たず、走っている間は排気ガスを出さない。
- 充電口 — 車体にある、充電器や充電ケーブルのコネクターを差し込む口。普通充電用と急速充電用で口が分かれている車もある。
- 普通充電 — 家庭や施設のコンセント・普通充電器から、小さめの出力で時間をかけて充電する方法。自宅や宿泊施設など、長く駐車する場所での充電に向く。
- 急速充電 — 大きな出力の直流で、短い時間に多くの電気を入れる充電方法。高速道路のサービスエリアや道の駅、コンビニなど、移動の途中に寄る場所に置かれることが多い。
- CHAdeMO — 電気自動車の直流による急速充電の規格の名前で、その普及と技術開発を進める団体の名前でもある。日本で生まれた規格で、急速充電の差し込み口が普…
- スーパーチャージャー — テスラが運営する電気自動車向けの急速充電のネットワーク。テスラ以外の電気自動車が使える場所は、テスラのアプリや地図で確かめられる。
- NACS(北米充電規格) — 北米充電規格(North American Charging Standard)の略。マツダはテスラと合意し、国内で売る電気自動車の充電口…
- 次世代自動車 — 運輸部門の二酸化炭素を減らすために、国が普及を目指している車をまとめた呼び方。ハイブリッド車・電気自動車・プラグインハイブリッド車・燃料電…
- V2H 充放電設備 — 電気自動車やプラグインハイブリッド車への充電と、車の電池から家などへ電気を送る放電の両方ができる設備。停電のときに車を家の電源として使える。
- 外部給電器(V2L) — 電気自動車・プラグインハイブリッド車・燃料電池自動車から電気を取り出し、家電などに使えるようにする持ち運べる装置。
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