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EV・電動車

EV の航続距離の読み方:一充電走行距離(WLTC)と電費(Wh/km)の意味、カタログ値と実際の差が出る条件、冬に短くなる理由と寒冷地向けの装備

電気自動車のカタログにある「一充電走行距離」と「交流電力量消費率(電費)」の意味を国土交通省の資料で確かめ、実際の走行で差が出る条件(暖房・外気温・速度・タイヤ・荷物)、冬に航続距離と充電時間が変わる理由、ヒートポンプやバッテリーの温度管理などの装備、電池の総電力量との関係、輸入車の表示の注記の読み方を、メーカー公式の説明から整理します。

最終更新:

カタログの一充電走行距離は「1 回の充電で走行可能な距離」、交流電力量消費率(電費)は「1 km 走るのに要る電力量(Wh/km)」で、どちらも国際的な試験のしかた(WLTC モード)で測った値です(国土交通省)。実際の走行では、暖房・外気温・速度・タイヤ・荷物で航続距離が変わり、特に冬は電池が冷えて航続距離が短く、充電時間が長くなる傾向があります(トヨタ公式)。

当サイトに収録している電気自動車の一充電走行距離(WLTC)の長い順は次のとおりです(車種ごとの説明つきのランキングは 電気自動車の航続距離ランキング)。

順位車種グレード(駆動)動力一充電走行距離(WLTC)
1BMW iX3iX3 50 xDrive(4WD)EV906 km
2アウディ A6 Sportback e-tronAudi A6 Sportback e-tron performance レンジプラスパッケージ装着車(RWD)EV872 km
3テスラ Model YModel Y L Premium AWD(AWD)EV788 km
4メルセデス・ベンツ CLA with EQ TechnologyCLA 250+ with EQ Technology(—)EV771 km
5テスラ Model 3Premium ロングレンジAWD(デュアルモーターAWD)EV766 km
6メルセデス・ベンツ EQSEQS 450+(—)EV759 km
7メルセデス・ベンツ CLA Shooting Brake with EQ TechnologyCLA 250+ Shooting Brake with EQ Technology(—)EV755 km
8アウディ Q6 Sportback e-tronAudi Q6 Sportback e-tron quattro advanced レンジプラスパッケージ装着車(quattro)EV751 km
9アウディ A6 Avant e-tronAudi A6 Avant e-tron performance(RWD)EV750 km
9DS オートモビル N°8ETOILE AWD(AWD)EV750 km
11トヨタ bZ4XZ(FWD)EV746 km
11スバル ソルテラET-SS(FWD)EV746 km
13トヨタ bZ4X TouringZ(FWD)EV734 km
13スバル トレイルシーカーET-SS(FWD)EV734 km
15レクサス RZRZ350e version L(FWD)EV733 km
16BMW iXiX xDrive60 M Sport(4WD)EV723 km
17ボルボ ES90Ultra Twin Motor Performance(—)EV720 km
18ヒョンデ アイオニック ファイブIONIQ 5 Voyage L(2WD)EV703 km
19日産 リーフB7 X(2WD)EV702 km
20メルセデス・ベンツ EQS SUVEQS 450 4MATIC SUV(4MATIC)EV673 km

電気自動車の一充電走行距離(WLTC モード)の長い順。 車種ごとに最も値のよいグレード 1 つで並べた上位 20(メーカー公式の主要諸元表から・収録しているグレードの範囲・自動更新)。

カタログの 2 つの数字

国土交通省の資料は、EV の諸元として次の項目を挙げています。

項目 意味 単位
一充電走行距離 1 回の充電で走行可能な距離 km
交流電力量消費率 1 km 走行するために必要な電力量 Wh/km

(国土交通省「表示事項等について」。次世代自動車振興センターの用語集も交流電力量消費率を「EV が 1 km 走行するために必要な電力量」と説明)

  • 電費(Wh/km)の値が小さいほど、同じ電気で長く走れます。PHEV では向きが逆の「交流電力消費率(km/kWh)=外部充電 1 kWh あたりの走行可能な距離」も使われ、こちらは大きいほど長く走れます(国土交通省)。単位を見て読み分けてください。
  • 国土交通省の審査を受けた値は、カタログに「国土交通省審査値」と書かれます(日産・スズキ公式の注記)。
  • ガソリン車と同じく、WLTC モードは「市街地」「郊外」「高速道路」の 3 つの走行モードで構成されています。EV でも各モードの電費を載せているメーカーがあります(スズキ e SKY・BYD RACCO の仕様表)。走り方が近いモードの値を見ると、自分の使い方に近づきます。WLTC モード自体の説明は WLTC 燃費の見方 にあります。

輸入車の注記を読む

輸入車の中には、電費や一充電走行距離を国土交通省の審査値ではなく、海外の試験機関の値として載せている例があります。例えば BYD SEALION 7 の仕様表は、交流電力量消費率を「ATEEL S.à r.l. 社調べ」とし、検査機関をルクセンブルクの政府機関と注記しています(BYD 公式)。比べるときは、表の注記でどの機関の値かを確かめてください。

カタログ値と実際の差が出る条件

トヨタは、実際の航続距離とカタログ値に差が出る主な要因を次のように説明しています(トヨタ「bZ4X BEV 実用情報」)。

条件 何が起きるか
エアコン(特に暖房) WLTC モードの測定はエアコンを使っていない。EV はエンジンの排熱を使えず、暖房をヒーターだけでまかなうため消費電力が大きい
外気温 リチウムイオン電池は気温が低いと航続距離が減る傾向
走り方(速度) モーターの特性上、速度が高いほど負荷がかかり、航続距離が短くなる。EV は高速道路より市街地が得意
タイヤ 工場出荷時のタイヤから替えると、転がり抵抗が変わり航続距離も変わる

さらに、航続距離を延ばす心掛けとして、ECO モードの活用・控えめな速度・必要以上の荷物を積まない・適切なタイヤ空気圧・季節や天候に合ったタイヤを挙げています(同)。日産も、一充電走行距離は試験条件での値で、使用環境・運転方法・整備状況(タイヤの空気圧など)で値が異なると注記しています(日産 アリア公式)。

メーターの「走行可能距離」がずれる理由

トヨタは、メーターに出る航続距離は「バッテリー残量」「学習した電費(それまでの走り方)」「一定のエアコン温度を想定した係数」から計算するため、それまでと大きく違う環境や走り方、エアコンの設定では、実際に走れる距離とずれると説明しています(同)。

冬に短くなる理由

  • 外気温が下がると電池の温度も下がり、リチウムイオンの動きが遅くなって、車のパワー低下による航続距離の低下や充電時間の延長が起きることがあります。トヨタはこれを電池の容量の低下ではないと説明しています(同)。
  • 暖房の電力が加わるので、同じ距離でも冬は使う電気が増えます。
  • 冬の急速充電の時間は 急速充電の時間と料金のしくみ で説明しています。

寒冷地向けの装備(公式の装備の言葉で)

装備 何をするか 例(公式の説明)
ヒートポンプ式エアコン 暖房の消費電力を抑える トヨタ bZ4X
シートヒーター・ステアリングヒーター・足元の輻射ヒーター 体を直接温め、エアコンの使用を減らす トヨタ bZ4X(AUTO(ECO)モードで直接暖房を優先)
バッテリーの温度管理(ヒーター・冷却) 電池を温め・冷やし、走行距離や充電を安定させる ホンダ N-ONE e:(低温時はヒーターで温め、高温時はラジエーターで冷却)、日産 アリア(水冷式の温度制御)
バッテリーの予熱・プレコンディショニング 急速充電の前に電池を温める トヨタ bZ4X、BYD RACCO(バッテリー予熱機能)

装備はグレードで違うことがあるので、主要装備表で確かめてください。

電池の容量(kWh)との関係

  • 一充電走行距離は、おおまかに「使える電池の電力量 ÷ 電費」の関係にあり、電池の大きさと電費の両方で決まります。
  • 主要諸元表の総電力量(kWh)は、電池のエネルギー量を表す値です。トヨタは、bZ4X の総電力量を「国連危険物輸送勧告の定義に基づき、電圧(V)と容量(Ah)、セル数によって求めた値」と注記しています。走行に使える量とは同じではないので、総電力量 ÷ 電費の計算はカタログの一充電走行距離と一致しません。
  • 比べるときは、一充電走行距離(同じ試験のしかたの値)と電費を並べるのが確かです。

自分の使い方に当てはめる

  1. 車種ページで、欲しいグレードの一充電走行距離と電費を見る(例: 日産 サクラ・トヨタ bZ4X・日産 アリア)。
  2. 冬・高速道路・エアコンを多く使う日は、カタログ値より短くなる前提で、1 日の距離と充電の場所を考える。
  3. 電気代は「電費 × 距離 × 単価」で出す(EV の自宅充電の電気代)。

EV の車種一覧 から、グレードごとの一充電走行距離と電費を比べられます。買う前に確かめることは 電気自動車を買う前に確かめること にまとめています。

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